「男の子は女の子と出会いました。それがただ,ワイヤードだった。それだけのお話です」。
quote:サイバースペースで愛を探す作業は,かなりうまくいく,という報告がある。ウェブ上でデートの相手を探すロミオとジュリエットのほとんどは,交際相手をみつけ,18%は1年以上続いたと云う。オンラインチャットは交友を図るもっともよい手段で,メールより効果的だ。ビデオカメラが使われることは少なく,テキストベースでの関係にはなにか特別なものがあるようだ。
「わたしをどくれくらい好きか,お金の金額で云って」「お金か,難しいね」「わたしに好きって云うときは,その金額をかわりにもらえるってことだもんね」「お金はよくわからないよ,そんな大金を手にしたこともないしね。でも,50万パケットぐらいぢゃないかな」「わかんないよ」「気持ちなんて,いつもそんなものだよ」◆「好きだって気持ちは,言葉で伝えてしまうとすごくつまらないものに感じてしまう。すごくステキな気持ちで,うれしくなって,押さえ切れなくて,言葉にするのに,なんかしゃべっちゃうと『おはよう』とか『猫がいる』とかと同じになっちゃう」「そうだね,でもそれしかないってわかっているのが,テキストチャットの楽しいところなのさ」。
「孤独だから,人を求めるんでしょうか」「難しい質問ですね。人は常に孤独である,と云う人もいるでしょうし,孤独でなくても常に人を求める,と云う人もいます。ですが,放っておいても人がうぢゃうぢゃいるワイヤードでも,人を求めるのですから,そのあたりに答えがありそうですね」◆「誰かと一緒にいて,自分の小ささを感じることと,ワイヤードの広大さのなかで,自分の小ささを感じることは,おんなじことのような気がする。為すすべなく,うずくまるしかできない,たとえあらがってる,結局は星をみあげるだけの自分をみつけることになる。恋をすることと,ワイヤードにいることがおなじってどぉいうことだろう。これは,難問かな」。
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